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by yuki-chami

にゅーぜんず 第24話

切り立った山の上、一本の剣が刺さっている。
今日もいいお天気。心地良い風が吹き、一人の少女が山を登ってくる。
少女は荷物を下ろし、バッグから縄やらペンチを取り出す。
よく見ると剣の周りにはこれまでの試行錯誤の跡であるのか、スコップやら手ぬぐいやらサラダ油が置いてあった。
軽く準備運動をすると、今日も剣の前に気合十分で立ち挑んだ。
すべては剣を引き抜くために!

ニューゼンイエロー・ちゃみそ 「う~~~むむむむむむむ、ぬおおおおおおおお」

しかし今日も剣は抜ける気配はない。

魔王の影・影フヒヒ 「・・・・・・」

その様子を木陰から見ている魔王の影。
雪原での魔王との戦いの後から、どうも彼女の跡をつけているらしい。
魔王の影といっても、彼自身も、魔王から追われている身のようであるが・・・

ちゃみそ 「ちょっとあんた!ただ見てるだけじゃなくて、これ抜くの手伝いなさいよ!」
影フヒヒ 「力仕事はあんまり得意では・・・。っていうかなんですかその縄@@;」
ちゃみそ 「見ればわかるでしょ!今日の小道具よ!」

村へ着いて以来、毎日のようにあらゆる手法を用いて剣を抜こうとしていたが、周りの土を掘っても掘っても、剣先は見えないし、サラダ油なんてただすべるだけだし、実は山に刺さってるどころか星ごと貫通してるのではないかと疑ってしまうくらい反応がなかった。
「毎日握力を鍛えにきてるようなものだわ!」とちゃみそは語る。

ちゃみそ 「ほんと、剣に根でも生えてるんじゃないかな・・・」
影フヒヒ 「何か他に、別の抜く方法があるのではないでしょうか・・・」
ちゃみそ 「うーん・・・」

ふと、影フヒヒの様子が変わった。
しばらく気配を探るかのようにじっと動かなくなったかと思うと、とっさに草陰にダッシュしていった。

影フヒヒ 「はっ・・・誰かきます!ちゃーさんも隠れて!自分は逃げます!」
ちゃみそ 「ええええ、逃げるってちょっと!!何かきたの!?」

影フヒヒが隠れた後にやってきたのは、魔王の手下であるにゃーすけだった。
咄嗟のことだったので、ちゃみそは隠れるまでには至らなかった。
にゃーすけ単独ではなく、モンスターを引き連れているようだ。
にゃーすけ一人ならまだしも、数の上でここではどうみても分が悪い・・・

四天王・にゃーすけ 「あれ~、魔王様の影は?どこいった??」
ちゃみそ 「 (´σ `) ホジホジ 」
にゃーすけ 「 (前回の)(´σ `) ホジホジ をまねされた!」
ちゃみそ 「し、しらない!」
にゃーすけ 「むう、仕方ないな・・・おい、おまえらその辺探せ!」

にゃーすけが命じると、大きな目を持つワイルドカーゴや、群れていたツノキノコ達が辺りに散っていった。
そして、にゃーすけは地面に刺さっている剣と側に転がっている様々な道具類に目を留めた。

にゃーすけ 「これって何かすごい剣なの?@@」
ちゃみそ 「( ゜σ ゜ ) ホジホジ σ( ̄~ ̄) モグモグ」
にゃーすけ 「あっきたない!」
ちゃみそ 「(=゜ω゜)ボー」

ちゃみそはとぼけている。

にゃーすけ 「とりあえず、これは何か重要な代物っぽいな・・・。よし、そこの縄とか使って引き抜くどー」
ちゃみそ 「ええええええ!それはちょっと困るわ!」
にゃーすけ 「っていうか、君、どっかで見たことあると思ったらニューゼンイエローじゃん!確保!確保!」

確保を命じ、ウェアウルフらがちゃみそに掴みかかろうとしたが、激しい抵抗に遭い、殴り倒されて、逃げられてしまった。

にゃーすけ 「さすがに鉄の檻でもないとイエローの捕獲は無理か!まあ、とりあえずそっちはほっといて、この剣を気合で抜くどー」

そして、「大きなかぶ」の要領で、剣に縄をくくりつけ、大勢のモンスター達+にゃーすけで、剣引き抜き作戦が始まった。




ちゃみそは、全力で坂を駆け下りた。あの剣を置いて山から逃げることは本意でないが、多勢に無勢!あの場にいては自分も捕らえられてしまう。
それに、村の人にモンスターが来たことを知らせなければ・・・。みんなで立ち向かえばなんとか撃退できるかもしれない。でも、できるならば巻き込みたくはない。
あの剣は抜けてしまうだろうか・・・。それとも、あの影フヒヒが言っていたように何か別の方法を施す必要があるとか・・・?
おばあちゃんの・・・ゆき乃おばあちゃんの剣・・・

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透環 画

幼少のちゃみそ 「ねえねえ、おばあちゃん、またおばあちゃんの冒険のお話ききたい!」
ゆき乃 「ちゃみそは冒険の話が好きね。そうね・・・じゃあ今日は魔王の城の鍵のお話をしましょうか」
幼少のちゃみそ 「まおうのしろのかぎ?」
ゆき乃 「そう、おばあちゃんはね、ずっとおじいちゃんを探す旅を続けて、旅の途中で、おじいちゃんは魔王の城にいることを知ったの。でもね、魔王の城は誰でも入れるわけではないのよ。魔王に許された者しか入ることはできないの」
幼少のちゃみそ 「え~、それじゃおじいちゃんに会えないよ~」
ゆき乃 「そう、それ以外ではただ一つの方法として、三種のジンギを持って、魔王の城の扉を開くことができるのよ。そしてそのジンギの一つをおばあちゃんはみつけたの」
幼少のちゃみそ 「あとのふたつは?」
ゆき乃 「あと二つは、おばあちゃんには見つけられなかった・・・。だからね、ちゃみそや、おまえが大きくなったらあとの二つを探し出して、おじいちゃんを助けておくれ」
幼少のちゃみそ 「うん、がんばる!」
ゆき乃 「旅の途中で困ったことがあったら、白い花の木の下で願いごとをするのよ」
幼少のちゃみそ 「うん。ねえ、おばあちゃん、あたしが旅に出るとき、もうおばあちゃんはいないの?おばあちゃんがいないのなんてそんなのいやだよ・・・」

ゆき乃 「寂しいときは、歌を歌いなさい。たとえ誰がいなくなったとしても、歌はずっと忘れない限り、消えることはないのよ」
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ちゃみそは、息を切らせてゆき乃の墓の前にきた。
お墓のそばには白い花の木。何かできる、思い当たる場所といえばここしかない。
あの剣がゆき乃のジンギだとすれば、にゃーすけ達に抜かれれば大変なことになってしまう。
ゆき乃の願いであった、おじいちゃんを救うこともできないかもしれない。
まさに天に祈るような気持ちで、ちゃみそは白い花の木に願った。
どうか私に力を・・・!

白い花の木が風で揺れた。しかし何事も起こる様子はない。

ゆき乃おばあちゃん・・・私はどうしたらいいんだろう!
おばあちゃんはいない。おじいちゃんに会えない。私は一人・・・

・・・・・・・・・・・・・・
サビシイトキハウタヲ・・・・・・・・・・・


ゆき乃が口ずさんでいた詩がある。
それを口に出して謡ってみる。


花が咲き 鳥さえずる頃 春が来る
あのひとが 遺した種から 生まれた春

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透環 画

突如、白い花の木が光った。驚いてちゃみそは上を見上げた。
詩に答えるかのように、白い花びらがひらひらと降ってくる。
少しだけ、自分の想いがゆき乃に伝わったような気がして、気持ちが温かくなった。

と、温かさを感じた胸に、何かの感触があった。
ふと見ると、しっかりと腕に槍を抱いていた。

少々赤茶けている気はするが、その槍には不思議なオーラがあり、鈍い光を放っていた。

ちゃみそ 「あれ・・・?これがおばあちゃんのジンギ?う、うん、きっとそうに違いない!」

直感でそれをジンギと信じたちゃみそは、意気揚々と故郷を後にした。

ちゃみそ 「おばあちゃん、ありがとう!!!」



                                    *

その頃の山頂付近。

にゃーすけ一行は、縄を用いて剣との引き抜き勝負真っ最中だった。

にゃーすけ 「気合いれていくどーーー!そりゃー!」

もはや手がどこにあるのかわからないようなスライムまでが参加する綱引き大会となっていた。
そして・・・・ついに剣がその闘いに屈し、大勢のモンスター達の前に引き抜かれた!!

ブシュウウウウウー!!!!!!!

剣が抜かれると同時に、突き刺さっていた穴から、洪水のような水しぶきが吹き上がった。
そしてそれはモンスター達を飲み込み、滝のごとく麓へ流れていく!

にゃーすけ 「え?え?えええ???」

しばらくすると、山の麓の住民達が怒ってやってきた。

村長モッピィ 「コラー!!山の神様怒らせたのはおまえか!!!」

村長が子供を叱るがごとく、げんこつでにゃーすけを殴った。

にゃーすけ 「いてー!!剣抜いただけだし!!っていうかこれ、栓になってたの!?」
村長モッピィ 「つべこべいわんと、治水工事完了するまでタダ働きだべ!!」

こうしてできた川は、原因にちなんでにゃーすけの川と命名されたとかされてないとか・・・
抜いた剣はというと、にゃーすけが持って帰るどころか村人たちに取り上げられて、後々、村の観光の呼び物になったらしい。
川の先にある湖は、カップルの憩いの場として、貸しボートなどがあるが、近頃は「( ゚∀゚)o彡°おっぱい!おっぱい!」などと叫びながら、周りにいるカップルを恨めしく思い、スワンボートを激こぎ(激ボート?)する独り者の若者が後を絶たないらしい。
独り者の寂しい若者の近くで、カップルがちちくりあうのは危険なので注意が必要である。


今日もかりんでは、白い花の木が花を咲かせている。
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by yuki-chami | 2008-11-14 01:09 | そうさく | Comments(5)
Commented by ぶひ at 2008-11-14 01:27 x
( ゚∀゚)o彡°おっぱい!おっぱい!

なんていうか、茶化す場所がありません(
Commented by at 2008-11-14 20:51 x
普通に話になってる!
ちょっと真面目ですねっヽ(`Д´)ノ

しかしオチおもしろすぎるww
完成度高いんじゃね?!
Commented by yuki-chami at 2008-11-17 02:35
>ぶひちゃん
読んでくれるだけでありがたいよ!
特に関係者には^-^v 知らない人が読んでくれるだけでも感動するけどねー
ブラックの登場はもうちょっと待っててくださいな!
カッコイイシーンが・・・・用意されてるとかされてないとか)`v')"・:.
( ゚∀゚)o彡°おっぱい!おっぱい!

>とわちゃん
ブルーの話はもっとマジメですよ(
くさかろうがマジメだろうが、にゅーぜんず三人の話はちゃんと書こうかとw
しかしやっぱりオチはあったほうが良いと思って、こうなった!
後日きっとアンドロイドもやむー初デートの場がにゃーすけ湖だったとかそうじゃないとか・・・
そしてブルーとイエローが潜入部隊として偽装カップルに\(^0^)/
Commented by すぷりがん at 2009-05-14 21:02 x
遅ればせながら、読ませてもらいましたーヾ(゚□゚@)

おぉー
まさかここで槍ゲットとわっΣ(゚Д゚;)
つづきが楽しみです(≧∀≦)wkwk


Commented by yuki-chami at 2009-05-18 00:19
>すぷりんさん
おお@@
まさか読まれるとは!!
拙い文章で申し訳ない><
日にちはかなり空いてしまったけど、落ち着いたら続きは書くつもりなので、そのときはまた見に来てくださいヾ(´ー`)ノ
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